Sさんのお産

2024年は、昨年末の引っ越しから心身ともにぱたぱたしてて、なかなかブログの更新ができずにいた。すでに1年の半分を過ぎてしまったが、やっとブログ再開の気持ちが沸き上がってきたのでお産の記録を書いてみる。

これは4月のお産のお話し。

今回が7人目の妊婦さん。いつものようにゆいクリニックから委託という形でこの方のお産を担当することになった。

これまで6人はアメリカで無痛分娩をしているという。

はじめにそのお産の経歴を聞いて、なぜ今回自宅出産をしたいのだろう?と思った。理由を問うと、姉妹がアメリカで自宅出産をした話を聞いてやりたいと思ったとのこと。また、6人目の時には病院に間に合うかどうかのほうが気がかりだったこともあり、自分が動くよりも来てもらいと思ったとのこと。

Sさんの身体の状態は健康的で、そしてこれまでの経験からもお産も育児も大ベテランの方。なんでも手作りできる、とても多才な方。子どもたちもとても賢く、お母さんのお手伝いを率先してしてくれるような子たち。

健診を重ねていくにつれ、Sさんの状態は理解しつつも、なかなか心の距離が埋まらない感覚・・・

『私、Sさんのお産サポート無事にできるかなぁ』と次第に不安になる・・・

39週の健診で、やっと、私の中で大丈夫と思える感覚が生まれた。必要なことはきちんと伝えられるし、Sさんもきっと伝えてくれる。お産のタイミングも合うはず。きっと大丈夫。そう思えた。

そして、その数日後、平日の朝7時頃、陣痛がはじまったとの連絡。

急いで子どもを保育園に送り出し、そのままSさんのおうちへ向かう。すぐに産まれるかもしれないから間に合ってほしい~と願いながら。

おうちに到着すると、先にサポート助産師のひとり、助産院むすびやの文恵さんが到着していた。まだすぐという感じではなく、モニターをとろうとしていた。水中出産希望でもあり、水の中にはいるタイミングをうかがう。本人が、「そろそろプールに入る」と言い、プールの中へ。

プールの中でその時を待つが、なかなか強い陣痛にならない。次第に本人から「こんなに痛くなってるのにまだなの?」と。内診(子宮の出口がどのくらい開いているか指で診察すること)をすると5cm。「赤ちゃんがなかなか出てこない~どうして~」と本人も辛そうに伝えてくる。一旦プールを出て気分をかえてみようとマットレスに移ってみる。四つん這いになったりして姿勢を変えたりしていると、ぐっと陣痛が強くなり赤ちゃんがおりる感覚があった。すぐにプールに戻り、数回の陣痛で破水、そして次の陣痛で赤ちゃんの頭がみえはじめ、お顔がみえ、そして身体がぬるりんと出てきてSさんに抱き上げてもらい出産。

やっとでてきた赤ちゃんを抱きかかえながら本人もパパも安堵の表情。別部屋で待機していた長女ちゃん次女ちゃんも部屋に入ってきて出産を喜び合っている。おへその拍動が止まってきたので、みんなでSさんをプールから抱きかかえてマットレスに移動してもらい横になってもらった。

胎盤も無事に出て、出血も少なく、赤ちゃんの状態も良好。

2~3時間ほどその後を経過を観察して、お産は無事終了となった。

後日、本人にお産の感想を問うと、「とにかく長く時間がかかってめげそうになった。でも産後の移動の必要がないことや水中出産はとてもいい経験だった。」と。

自宅出産の良さ、病院の良さ、それぞれあると思っている。どこで産みたいのか、誰がそばにいてほしいのか、妊娠中に、もっと言えば妊娠前から自分の未来を想像してみてほしい。

その方にとってベストなお産をいつもそれぞれが選んでいると思っている。Sさんのお産サポートも、私にとってとても学び大きいものだった。私もまだまだ未熟だけれども、これからも妊婦さん・産婦さんに寄り添いたい。その瞬間瞬間に必要なことができるように自分の技術をもっともっと向上したい、そう思えたお産でした。

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