Jさんのお産

Jさんとの出逢いはゆいクリニック。今回5人目のお産で、3番目・4番目ちゃんをゆいでお産されています。今回は初めて自宅出産がしたいと依頼がありました。Jさんは自身への健康意識がとても高く、上の子たちのお産の経過も知っているため快く引き受けました。

妊娠中は大きな問題もなく順調に経過しました。4回お産の経験があるだけに、身体の変化を感知してこのあたりでお産になりそうな気がする~と話したりしていました。39週に入り、8月上旬の台風の最中、おなかのはりが頻繁にあるとのことで自宅へ向かいました。けれども痛みはなく、すぐさまお産という感じではなく、一旦サポートチームは自宅に戻りました。(台風でもおなかは張りやすくなります)

そこからさらに1週間後、予定日を5日過ぎて、ついに破水したと連絡がありました。自宅に到着すると、まだ痛みはないのだけどやっとお産が始まる喜びに笑顔の表情でした。前日にはいつもなら予定日前後にはお産になっているためか「もう一生妊婦かもしれない」と陣痛が来ない不安を嘆いて涙したのだそう。ついにきたお産の兆候にやる気満々で、階段を登り降りしたり、歩き回ったりして陣痛が強くなるのを待ちました。数時間して、徐々に痛みが出始めました。そして痛みが強くなり、水中出産するためのプールに入りました。子どもたちも全員部屋に呼び寄せ、お産のその時を待ちます。ゆっくり頭がでてきて、そして身体が出てきてママに抱っこしてもらいながらベビーちゃんが出てきました。泣きはじめがゆっくりで背中や足を刺激し、ほどなく「おぎゃー」と泣き出しました。ママは達成感とも安堵感ともいえる、なんとも幸せそうな恍惚とした表情をしていました。

ベビーちゃんの元気さを確認した後は胎盤がでるのを待ちます。プールの中で出血が出始め、プールから出てマットレスに横になってもらいました。胎盤も無事にでて、出血が多くないかどうか確認します。一旦落ち着いた出血がまだ時々多めにでてくることもあるため、止血剤のお薬を注射しました。会陰の傷もなく、順調な経過にやっとこちらも安堵することができました。

翌日から5日間、ママとベビーちゃんの様子を見に行きます。これまで全員母乳育児をしているママ。授乳も慣れた様子です。このまま順調に経過すると予想していたら、産後4日目、腹痛とお熱がでました。翌日には薬で落ち着き、その後も問題なく、何の原因だったかな?と疑問でした。

産後8日目、また腹痛と熱がでたと連絡を受け、これはおかしいとすぐに先生に連絡してゆいクリニックに受診してもらいました。熱の原因検査のために産後の出血(悪露(おろ)といいます)を一部とって培養検査にだしたり、採血をしたりしてもらいました。抗生剤の点滴も行うことになり、数日間外来通院となりました。抗生剤の点滴で日に日に良くなり、腹痛もお熱も全くなくなりました。

検査から1週間後、検体の検査結果から、熱と腹痛の原因はとある常在菌でした。その菌が子宮内にいたということで子宮内感染だったということ。この悪露の量や色、においも特に異常は見受けず、お腹の上から子宮を触ったりして確認しても分からないものでした。

2週間健診は自宅で可能という先生の判断をもらい、自宅で行いました。今回のお産は、ママにとってもベビーちゃんにとってもサバイバルなものだったとママは話します。本当にお産は何が起こるか分からない、順調に経過することを願い確認しつつも、やはり小さな変化を見落とさず、必要なサポートができるようにしなければと、私も改めて学ばせていただいたお産でした。

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